こちらでは、架空の国が舞台だったり、オメガバースや人外などの特殊設定、舞台は日本でも昭和以前の時代物などを集めてみました。
オメガバースは人によっては好き嫌いがあると思いますが、今回はあまりオメバを強調していないものを選びましたので、普通のお話として楽しんで頂けるものばかりだと思います!
鬼は今日も雨を待つ/古澤エノ
あらすじ
季節を司る鬼の立夏と涙は、今年も夏を彩るため、人間界で共に過ごす。
あることがきっかけで邪気が弱まった立夏は、涙と触れ合うことで邪気を回復しようとする。
立夏の役に立てて嬉しく思う反面、立夏に敬愛だけではない思いを抱き始めた涙は、邪気が満たされることに不安を覚え始めていた。
それが満たされた時、涙は立夏と共にいられなくなるのではないか────
そしてその頃から、涙は不思議な夢を見るように……
おすすめポイント
鬼、和装、和風ファンタジー……
耽美という言葉がまさにぴったりな、まるで画集のように美しい世界観を、イラストレーターでもある作者さんが見事に描いています。
絶世の美形の立夏、立夏といるうちにどんどん色っぽくなる涙。
とにかく二人の色気が凄い。恥ずかしそうにする涙に、有無を言わさず迫る立夏が最高です。
他の季節を司る鬼の冬牙、愁など、脇役の鬼も美しい。
彼らのエピソードももっと読んでみたいと思いました。
玉響/ゆき林檎
あらすじ
大正時代。
すれ違いながらもお互い思い合っていた、幼馴染み同士の麻倉と立花。
だが、名家の跡取りである麻倉には縁談が持ち上がり、立花は実家の事情で麻倉の前から姿を消してしまう。
おすすめポイント
好きな人とすんなり一緒にはなれなかった時代、二人の境遇が切ないです。
作画と終始静かなストーリーがマッチしているのもいいですね。
現代と違って激しいラブシーンなどはないですが、長年かかってようやく結ばれる二人……というシチュエーションは時代物の醍醐味です。
本編は1巻完結ですが、合間のストーリーと脇役の松本が登場する短編もあります。
憂鬱な朝 1~8 /日高ショーコ
あらすじ
若き子爵の暁人と、その家令・桂木。
暁人は一途に桂木を思い続けるが、桂木は拒絶する。
受け入れられないもどかしさを正面からぶつける暁人に、あくまで冷たい桂木の本心は、どこにあるのか。
おすすめポイント
こちらも時代もの。
氏族制度が残る時代の、主人×家令の主従BLです。
といっても”ご主人様と召使”という感じではなく、精神面では対等。というかむしろ逆。
この背景だけで萌える……!という方、同志です。
若くまっすぐな情熱を向けてくる暁人を、徹底的に拒む桂木。
暁人と桂木は陽と陰で二人とも人目を惹きつけてやまないのに、肝心のお互いの気持ちがなかなか噛み合わない。
途中報われない暁人ですが、思いが通じてからは最高のパートナーとなります。
信念のためお互いに補いながら大成していくところは、家柄の良い主従BLならではの関係性で、大好きです……
全8巻で、BLという枠を超えたとても壮大なお話ですが、一気に読んでしまうほど引き込まれること間違いなし。
ヒズ・リトル・アンバー上 下 /ナツメカズキ
あらすじ
子供の頃に源慈に拾われ、育てられた琥士郎。
豹に変化することができる不思議な琥士郎だが、成長するにつれ源慈への恋心を募らせていく。
それでも琥士郎のことを思い一歩引いていた源慈だが、琥士郎の過去を知って決断を迫られる。
おすすめポイント
大人の男・源慈と無邪気な美青年に成長した琥士郎が、二人ともいい男。
ナツメカズキ先生の描く、しっかり男らしい体格で筋肉質なのに、とんでもなく美形の男たちがたまりません……!
前半は、源慈への好意を隠さない琥士郎に対し、源慈は大人の男らしく一歩引いていて、ラブコメの様相を呈しています。琥士郎が獣化した姿がめちゃめちゃかわいい。
源慈も無口ながら琥士郎をとても大切にしていて、二人の同居生活を見ているだけでも癒されますね~
そして後半、初めは無邪気なだけだった琥士郎が、過去を受け入れ命懸けで源慈のもとへ飛び込む姿に、心を揺さぶられます。
運命なんてクソくらえ/紅
あらすじ
オメガで早乙女家の御曹司・柚季は、母親の一存により、アルファでエリート御曹司の九条桜臣と見合いをすることに。
オメガに生まれながらもアルファと遜色ないようにと、必死で重ねてきた努力が、アルファと番になれば、水の泡。
しかも相手は勤務先の副社長で、九条グループの長男。このままでは、一生アルファに屈する生活となってしまう―――。
なんとかこの見合いを破談にしようと意気込む柚季だったが、一目見た瞬間からお互いに恋に落ちてしまった柚季と桜臣。
母親の押し切りで同棲生活まで強制スタートしてしまい、桜臣の魅力に抗える気がしない柚季だったが……
おすすめポイント
オメガバースものですが、そこまでその設定が全面に出ておらず、純粋にラブコメとして楽しめる作品だと思います。
御曹司二人のちょっと浮世離れした同棲生活、まるで王子様そのものの攻め・桜臣のスパダリぶりに、度肝を抜かれてばかりいる柚季がかわいい。
何も考えず、安心して幸せなBLを読みたいときに是非。
二人の母も美人で最強、最高です。
2024.09現在、KindleUnlimitedで読めます。
ロマンス/カシオ
あらすじ
科学者のリチャードは、インチキと噂がある霊能者・ユーリを調査することに。
初めは貴族でないユーリを見下していたリチャードだったが、蠱惑的なユーリと接するうち、身分の差も超えて彼に惹かれていく。
おすすめポイント
おそらく中世のロンドンが舞台の教授×美青年身分差BL。
ホームズあたりの時代背景がお好きな方におすすめ。
何故かランキングなどにはあまり出てこないのですが、独特のタッチでとても雰囲気のある作者さんです。
恋になど溺れないと豪語していたリチャードなのに、嫉妬に苦悩しユーリを独占しようとする様子が、矛盾だらけで最高です。
ユーリもただリチャードを手玉に取っているだけに見えて、心の底では彼を受け入れたくて仕方がない。
途中すれ違ってしまうところも含め、短い中に丁寧に描かれていると感じます。
五人の王/絵歩
あらすじ
※注
攻めも受けも、お互い以外との同衾を匂わせる描写があります。
苦手な方はお避けください
青の王・アジュールに召されることになった妹・ヒソクの身代わりに宮殿に入ったセージ。
青の王に所有される”姫”として過ごすが、アジュールはセージの正体を見抜き、冷酷に扱う。
そして同じように国を治める赤、黒、紫の王たちとも緊迫した関係の中、崩御した緑の王の後継者の印がセージの体に現れる……
おすすめポイント
元はWEB小説が原作の壮大なファンタジー。
小説は5巻(うち外伝2巻)、漫画は現在8巻まで発刊済です。(9巻は2024年11月発売予定)
五人の王の中で最も強い権力を持つ青の王アジュール、不穏な黒の王、過去に秘密のある紫の王、セージと心を通わせるもアジュールに引き離された赤の王、そして緑の王……
豪華絢爛な架空の世界で繰り広げられる物語で、主役二人はもちろん、脇役たちもとても魅力的。
絵も美しいです。
姫として迎えたセージに愛情もかけないくせに、セージと赤の王との交流も裂いてしまう青の王が、最初はとても好きになれません(しかし絶世の美男)。
けれども、そうしなければならなかった理由や彼の過去、王として成し遂げるべき使命などが明らかになるにつれて、気づけば彼に肩入れしてしまうのでした。
世界観や脇役たちのエピソードを楽しむのも醍醐味ですので、BLメインというより、ファンタジーの中にBL要素のあるものがお好きな方に是非。
本編でCPとしての描写があるのはアジュール×セージですが、小説の外伝ではなんと、ウィロウ×シアンのCPが誕生……!
この二人が大好きでしたので、とても嬉しかったです!
后宮のオメガ/露久ふみ
あらすじ
王族でありながらΩ(オメガ)として産まれてしまったイリヤは、政略結婚のため他国のハーリド王に嫁がされる。
自分の人生を諦め誰に対しても心を閉ざしていたイリヤだったが、聡明で純粋なハーリドと接するうち、少しずつ打ち解けていく。
しかし、そんな時ハーリド死亡の報せが入り、元より王位を狙っていた兄のザインが王として即位することに。
暴君であるザインに仕えるか、神殿に入るかの選択を迫られたイリヤは……
おすすめポイント
エキゾチックな中東を思わせる架空の国が舞台の、オメガバースファンタジー。
とにかく華麗な王国の世界が、美しく繊細な絵柄とともに楽しめます。
登場人物全員見目麗しいのですが、中でも受けのイリヤの美しさがずば抜けています。
強く優しい指導者に成長したハーリドも、王の貫禄たっぷりのザ・攻め様という感じ。
最初は自暴自棄だったイリヤが国を守ろうと奔走するようになってから、それを陰ながら支える次女のスゥヤが素敵でした。スゥヤ、オリエンタル美人でとても好きな脇役です。
貢ぎ物は冷血領主に運命を捧げる /石原ケイコ
あらすじ
シャウラには前世の記憶がある。
”冷血領主”と噂されるアルタイルのもとに、貢物として差し出されたシャウラ。
非道な扱いを覚悟したシャウラだったが、アルタイルはシャウラを逃がそうとしていた。
”領主様”が、前世で心を通わせた”アルタイル”だったのだと気付き、シャウラは自ら彼の側に居続けることを願い出る。
アルタイルは素直で屈託のないシャウラに惹かれるようになり、シャウラも今世ではアルタイルから離れないことを決心する。
おすすめポイント
石原ケイコ先生の作画がとにかく美しいです。
ファンタジーの世界観を損なわない細やかな衣装や背景、主役二人の華やかさ。BL漫画というより絵画を見ているような感覚。
二人が触れ合うシーンも下品なところが一切なく、それでいてとても艶っぽい。
「BL要素のある綺麗なファンタジー」をお探しの方に是非。
1巻のみ発刊済みですが、早く続きを読みたいです……!
まことしやかに舞う花は/束原さき
あらすじ
昭和16年。
幼馴染みの颯太朗と春臣はお互いを大切に思うのに、子供の頃の些細なすれ違いで仲違いしたままだった。
数年後留学から帰国した颯太朗は、舞踏家として美しく成長した春臣に今度こそ謝罪しようとするが、互いの境遇や将来を憂え、颯太朗を避ける春臣。
それでも少しずつ二人の心が近付いた矢先、戦争の影が暗く立ち込める。
おすすめポイント
踊りのお師匠さんである春臣の和装姿が、とても綺麗。颯太朗もイケメン御曹司を地で行く感じで、とてもお似合いです。
時代背景もあり自由な恋愛が許されない境遇の二人が、それでも愛を貫く姿が尊い。
束原さき先生の、美しいけれどうるさくない絵柄が、古き良き時代の日本の風景ととてもよく合っていると思いました。
同じ作者さんで護衛大学生×御曹司の「エスケープドロップ」もおすすめです!
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